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  5. 勤務医が開業を考えたとき確認すべき5つの判断基準|メリットやリスクまで解説

クリニック開業 医師 事務長 2026.07.21 公開

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勤務医が開業を考えたとき確認すべき5つの判断基準|メリットやリスクまで解説

勤務医として一定のキャリアを積むなかで、「自分も開業したほうがよいのではないか」と考える瞬間は誰にでも訪れます。開業の最大のメリットは、理想の医療を自分で設計できる自由度と、収入の上限がなくなる可能性がある点です。一方で、廃業のリスクや多額の初期投資、経営者としての孤独といったデメリットも避けて通れません。本記事では、開業医と勤務医の本質的な違いから開業のメリット・デメリット、開業前に確認すべきチェック項目まで、判断材料として参考にしていただける内容を体系的に解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討

目次

開業医と勤務医で何が本質的に違うのか

開業医と勤務医では日々の働き方にどのような違いがあるのか、定量的な部分と定性的な部分の両面から整理してお伝えします。

開業医と勤務医で何が本質的に違うのか

収入の構造が異なる

勤務医の収入は、固定給に各種手当(学会参加手当や当直手当など)が加わる構造で、勤務先の給与体系によって上限が決まっています。一方、開業医の収入は、診療報酬から経費を差し引いた残りがそのまま手元に残る仕組みです。経営状況によって青天井になる可能性がある反面、下限がない点も勤務医とは異なります。

金額の参考例として、令和7年度医療経済実態調査における平均給料年額では、勤務医が1,484万5,784円、開業医が2,858万1,803円との結果が示されました。

出典:厚生労働省「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告-令和7年実施-P314・331」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/25_houkoku_iryoukikan.pdf

裁量と責任が表裏一体になる

開業医は、診療方針やスタッフの採用、設備投資まですべてを自らの判断で決められます。一方で、院長先生が不在になった際の代診確保や、患者さん対応にまつわるトラブルも、最終的にはすべて自分で背負わなければなりません。開業によって得られる「自由」は、裏を返せば「孤独」と隣り合わせだといえるでしょう。

開業して得られるメリット

開業医になることで勤務医時代と具体的に何が変わるのか、メリットの部分を整理します。

理想の医療を自分で設計できる

診療科目や診療方針、使用する医薬品、設備投資の優先順位まで、自分の意思で決定できる点は開業医ならではの魅力です。また、専門性を磨きながら地域でかかりつけ医としてのポジションを築いていくこともできます。勤務医として組織のなかで働く形とは異なる、医師としての充実感を得られる方も多いでしょう。

収入の上限がなくなる

経営の手腕次第では、勤務医時代を大きく上回る収入を得られる可能性があります。診療科目によって年収の傾向は異なり、医療経済実態調査の一般診療所(個人)における損益差額の例は以下のとおりです。

  • 全体平均:2,634万円
  • 内科:2,470万7,000円
  • 小児科:3,728万6,000円
  • 整形外科:3,064万5,000円

ただし収益が保証されているわけではなく、開業初年度は収入が一時的に下がるケースも珍しくありません。

出典:厚生労働省「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告-令和7年実施-P155~157」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/25_houkoku_iryoukikan.pdf

ワークスタイルを主体的に設計できる

休診日や診療時間、診療ペースを自分の裁量で決められるようになり、勤務医時代のシフトや当直、オンコール対応からも解放されます。もっとも、患者さんが来院しなければ収益が発生しないため、「休みやすさ」は集患の状況に左右される現実もあわせて知っておく必要があります。

開業後に抱える可能性があるリスク

開業医として歩む以上、メリットだけでなく直面しうるリスクも具体的に把握しておく必要があります。とくに、昨今は廃業の件数が多い状況でもあるため、実態をおさえておきましょう。

集患が難しく廃業するリスク

東京商工リサーチの調査によると、病院・クリニックの倒産件数は2025年1〜11月で33件に達し、過去20年で見ても2009年同期の40件に次ぐ高水準でした。廃業に至る主な原因として、コスト増により収支のバランスが崩れているケースが挙げられています。

出典:東京商工リサーチ「病院、介護事業者の倒産急増=2025年を振り返って(7)(2025年12月30日)」(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202242_1527.html

とくに、新規開業直後は患者数がゼロからのスタートとなるため、地域での認知が広がるまでに一定の時間がかかります。収支のバランスを良好にするには、需要が見込める立地選定をはじめ、SNSや口コミの活用など集患に向けた継続的な取り組みが欠かせません。

効果のある集患対策について、医院経営に精通した先生にお伺いしたセミナーをご用意しています。いつでも視聴いただけるため、参考になさってください。

本当に効果があるクリニック集患対策を視聴する(無料)

初期投資と資金繰りのリスク

開業時には内装工事や医療機器の購入、電子カルテの導入など、まとまった初期費用が発生します。一般的に5,000万〜1億円以上が目安といわれており、ご自身に適した資金計画が必要です。

開業後の半年から1年程度、収入が不安定になるケースは珍しくありません。加えて、借入金の返済と人件費の支払いが重なり、資金繰りが厳しくなりやすい時期でもあります。

資金繰りを支える選択肢の1つとして、診療報酬ファクタリングを解説した記事も用意しているため、参考になさってください。

経営者としての孤独と重責のリスク

スタッフの採用や育成、トラブル対応まで、すべてが院長先生自らの仕事になります。診療においても代診を担う医師がいない場合、体調不良になった際の休診判断を1人で下さなければなりません。

医師としての診療業務に加え、経営者としての業務も同時にこなす必要があり、二重の負担を感じる開業医も珍しくないでしょう。

開業に向いている医師・勤務医が向いている医師の特徴

ここからは、開業という選択肢が自分に合っているかどうかを見極めるために、開業医と勤務医、双方の特徴を確認しておきましょう。

開業に向いている医師の特徴

開業との相性を判断する材料として、向いている医師に共通する特徴を整理しました。

  • 数字や採算、人材管理に関心がもてる
  • 専門性と実績があり集患の核になる
  • リスクを自分でコントロールしたい
  • 貢献したい地域や患者層が明確にある

これらの項目に複数当てはまる場合、開業によって裁量と収入の両面でメリットを得やすいタイプといえます。次章のチェック項目もあわせて確認し、開業に向けた具体的な準備を進めていきましょう。

勤務医が向いている医師の特徴

反対に、開業よりも勤務医としての働き方が合っている可能性がある特徴も確認しておきましょう。

  • 経営や数字への関心が薄く管理業務が苦手
  • 安定した収入や環境を最優先に考えている
  • 勤務医として専門性をさらに高めたい段階にある
  • 家族や生活環境の変化が多く資金拘束が難しい

なお、複数当てはまる場合でも開業を諦める必要はありません。経営面をサポートするパートナーの活用や、開業時期の見直しによって不安を軽減できるケースもあります。自分にとって何が障壁になっているのかを把握したうえで、次章のチェック項目で準備状況を確認しておきましょう。

開業前に確認しておくべきチェック項目

開業を判断する前に、以下5つの観点から自分の状況を確認しておくと、検討の精度が高まります。

①自分の専門性が地域の需要とマッチする

診療圏調査によって、開業を予定するエリアの患者層やニーズを把握しておくことが欠かせません。競合クリニックの数や患者数の推計とあわせて、自分が開業したい診療科目が地域のニーズとマッチしているかを確認しておきましょう。

診療圏調査の方法や注意点をまとめた記事も用意しているため、あわせて参考になさってください。

②開業後の収支計画を立てているか

初期費用や月次のランニングコスト、損益分岐点となる患者数をあらかじめ試算しておくことが大切です。開業後1〜2年は資金がショートするリスクも想定されるため、備えとなる運転資金を確保しておく必要があります。

収入・支出のポイントをはじめ、開業後5年間の計画例などを解説したお役立ち資料を用意しています。計画立案時の手元資料として、ご活用ください。

5年間の収支計画の進め方をダウンロードする(無料)

③開業形態(新規・承継)を検討しているか

新規開業と承継開業では準備する内容が異なります。両者の違いを理解したうえで、どちらの形態が自分の状況に合っているかを判断する視点をもっておきましょう。

なお、承継とはすでに開業しているクリニックを譲り受けて運営することです。以下のように開業までの工数が新規よりも短縮できます。

開業方法 必要工数
新規開業
  • 診療方針確立
  • 経営計画策定
  • 開業地選定
  • 診療圏分析
  • 事業計画策定
  • 融資先選定・交渉
  • 借入金保証(リスクヘッジ)
  • 設計
  • 医療機器・備品選定
  • 施工
  • 各規定策定
  • 職員募集・採用
  • 開設手続き
  • 開業
承継開業
  • 診療方針確立
  • 経営計画策定
  • 開業地選定
  • 診療圏分析
  • 事業計画策定
  • 融資先選定・交渉
  • 借入金保証(リスクヘッジ)
  • 各規定策定
  • 開設手続き
  • 開業

新規開業の全体像を解説した記事承継の流れを解説した記事、どちらもご用意しているため検討を進める際に、参考になさってください。

④スタッフ採用・育成のビジョンがあるか

看護師や医療事務など、雇用するスタッフの採用計画は事前に立てておく必要があります。また、スタッフの離職リスクや、院長先生1人に業務が集中してしまう問題も想定しておかなければなりません。

スタッフ採用・育成に関するリスク回避に役立てていただける、事例を交えた取り組みを解説したセミナーもご用意しています。組織作りの実態把握としてお役立てください。

クリニックの人財戦略セミナーを視聴する(無料)

なお、近年はコスト高騰や人材不足によってスタッフ採用のハードルが上がっており、医療DXの推進も対応策の1つとして注目されています。

たとえば、レセコン一体型電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」のようなシステムを導入すれば、入力業務の効率化を通じて、限られたスタッフでも安定した運営を目指しやすくなります。詳しい機能や特長は製品ページにまとまっているため、あわせてご参照ください。

「Medicom クラウドカルテ」の製品ページを見る

⑤信頼できる開業サポートパートナーはいるか

人件費をはじめとするコスト増加が続くなか、医療DXを起点とした開業準備が欠かせない時代になっています。医療のIT化から人材教育まで、トータルで相談できるパートナーを見つけられれば、すべてを1人で抱え込まずに開業準備を進められるでしょう。

まとめ

開業医と勤務医では、収入の構造や裁量と責任のバランスが大きく異なります。理想の医療を自分で設計できる自由度や収入の上限がなくなる可能性は開業の大きな魅力です。ただし、廃業のリスクや初期投資の負担、経営者としての孤独といった現実も避けて通れません。開業に向いている医師の特徴や、開業前に確認すべきチェック項目を踏まえ、最適な選択肢を見極めてみてはいかがでしょうか。

ウィーメックスでは、開業に関するご相談を承っています。全国174の営業拠点(2025年12月時点)を通じて、お悩みに寄り添ったサポートを提供できる点が強みです。開業に関する情報を1ページにまとめておりますので、あわせてご活用ください。

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著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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